こんにちは!
天然日本鹿革のレザレクションです。
近年、テレビやSNSでも「エゾシカ問題」という言葉を目にする機会が増えました。
北海道の森では、いま何が起きているのか。
そして、なぜ“鹿革(特にエゾ鹿革)を使うこと”が、
サステナブルで未来につながる行動になるのか。
今回は、革の専門店としての視点から、
鹿革 × 環境 × 命の活かし方 を深く掘り下げていきます。
読み終えたとき、きっと
「鹿革って、こんなにも意味のある素材なんだ」
と感じていただけるはずです。
目次
■ エゾシカが“増えすぎている”という不都合な真実

まず最初に知ってほしい事実があります。
北海道では現在、
年間70万頭前後のエゾシカが捕獲・駆除されています。
これは偶然でも、一時的な現象でもありません。
深刻な生態系の崩れから生まれた、継続的な課題です。
■ なぜここまで増えてしまったのか?
理由は大きく分けて3つあります。
① 天敵である「狼(エゾオオカミ)」の絶滅
明治時代に絶滅した狼。
本来エゾシカの個体数を抑えていた捕食者がいなくなり、
自然のバランスが崩れてしまいました。
② 温暖化で“越冬率”が上がっている
厳しい冬は、自然界の個体数調整の役割を果たしていました。
しかし温暖化で雪が浅くなり、餌を見つけやすくなったことで、生存率が大幅に上昇。
③ 人間が生み出した“快適な環境”
農地、山林、道路脇の草地。
どれもエゾシカにとって栄養の多い食べ物が集まる場所です。
こうして、
捕食者の不在 × 環境の変化 × 気候の変動
が重なり、エゾシカが急増しました。
■ エゾシカ被害は「北海道の森林の7割」に広がっている

ここが最も深刻なポイントです。
エゾシカは草のほか、
木の皮(樹皮)も食べます。
木の幹の皮をぐるっと食べてしまうと、
栄養が樹木に戻らず 木は1〜2年で枯れてしまいます。
その結果…
-
森が再生しなくなる
-
土壌流出が増える
-
生態系が崩壊する
-
他の動物の生息域がなくなる
「北海道の森林の約7割に影響が出ている」という報告もあり、
すでに環境問題として大きなフェーズに入っています。
■ 捕獲した鹿の“8割以上”が廃棄されている現実

ここが、私たちがもっとも強く向き合っている問題です。
いま現在、捕獲されたエゾシカの大半は、
そのまま“廃棄物”として処理されています。
理由は…
-
加工できる施設が不足
-
流通の仕組みが整っていない
-
ニーズがまだ低い
-
冷凍保管や運搬コストが大きい
など、さまざま。
本来なら、
肉としても、皮としても価値のある命。
それが有効活用されずに廃棄されている状況は、
自然界にとっても、人間にとっても大きな損失です。
■ 鹿革は「捨てられる命を、価値に変える」サステナブル素材

ではここで質問です。
革製品は「動物を犠牲にする」と思っていませんか?
ほんとうは逆なんです。
鹿革は
“捨てられていた命を、生きた価値へ変える素材” です。
鹿革が使われれば使われるほど、廃棄されるエゾシカが減り、
自然保全の循環が動き始めます。
■ 鹿革の価値は「環境保全」と深く結びついている
✔ 捕獲 → 廃棄という負のコスト
から
✔ 捕獲 → 資源活用という持続可能な仕組みへ
鹿革を使うことで生まれるメリットは大きく3つあります。
① 森林保全の維持に役立つ

鹿革が価値を持てば、
“捕獲=廃棄物にするコスト”から
“捕獲=資源として活かす価値”へと転換されます。
森の再生が進み、生態系が守られる
鹿革を使う行為は、直接環境保全に寄与するのです。
② 地域資源の有効活用

エゾシカは「害獣」ではなく、本来は自然の恵み。
肉はジビエとして活かす。
皮は革として活かす。
すべてを無駄にしない。
これは、北海道で長く続けるべき資源循環の形です。
③ ハンター・処理施設・革職人の技術が守られる

鹿革が流通すればするほど、
ハンターも、皮の処理をする業者も
革を仕上げる職人たちも仕事が生まれます。
これは
「地方の産業が持続する」
という非常に重要なポイントです。
■ 鹿革は“環境に良いだけではない”。素材として最高レベル
ここまで環境の話をしてきましたが、
鹿革が選ばれる最大の理由は
「素材として圧倒的に優秀」だから。
自然保全の文脈だけでなく、
革としての機能性も飛び抜けています。
■ 鹿革が“環境 × 機能”の両面で素晴らしい理由

● しなやかで、軽くて、強い
繊維が極細で絡み合っているため、
軽くても引き裂きに強く、柔らかいのに丈夫。
● 水に強い
濡れても油分が抜けにくく、すぐ元の柔らかさに戻ります。
● 通気性が良い
蒸れにくいので、バッグやウェアに最適。
● お手入れがほぼ不要
クリームやオイルを塗らなくても、しっとり柔らかいまま。
● 経年変化が美しい
艶が増し、色が深まり、“持ち主ならでは”の味が出る。
これは、牛革や馬革にはない特徴です。
■ エゾ鹿革は、サステナブルの理想形

鹿革は、「環境負荷の少ないエシカルレザー」
と紹介されることがありますが、
その理由は次の3つに集約されます。
① 本当に必要な分だけ生まれる(人工繁殖ではない)
鹿革は、工場で飼われた動物ではありません。
自然界の調整のために捕獲された個体を活かすもの。
“動物を育てて革にする”のではなく、
“捨てられていた命に価値を与える”革です。
② 副産物ではなく「資源活用」そのもの
牛革は基本的に食肉の副産物。
鹿革はまったく逆で、
森林被害 → 捕獲 → 資源化
という新しい循環の中心にあります。
③ 使うほど地球に優しい
鹿革製品を選ぶという行為自体が、
自然保全を応援する“環境アクション”です。
まさに、自然と人間の関係を良い方向へ動かす素材といえます。
■ レザレクションが「鹿革」にこだわる理由

レザレクションのものづくりは
“命を無駄にしないこと”を大切にしています。
エゾ鹿は、捨てられるべき存在ではありません。
自然の恵みであり、
生態系の一部であり、
丁寧に扱えば一生ものになる素晴らしい素材です。
私たちは
「最高の状態で革になる“鮮度”」
にも徹底的にこだわり、
-
捕獲直後の処理
-
適切な冷凍管理
-
数十工程を経た国内鞣し
-
日本の職人による縫製
この一貫体制を大切にしています。
これは、
エゾシカの命を価値あるものにするための最良の方法
だと考えているからです。
■ “鹿革を選ぶ”=あなたの生活の中のサステナブル

SDGsやエシカルという言葉は、
少し難しく聞こえるかもしれません。
けれど本質は、とてもシンプルです。
● 捨てられていた命を活かす
● 森林被害を減らす
● 地域の仕事を守る
● 自然と人のつながりを取り戻す
● 一生持てる良いものを選ぶ
革製品を選ぶとき、
そこに“鹿革”という選択肢がある。
それだけで、あなたの行動は
地球にとってポジティブなものになります。
そして、手に取っていただいた革製品は、
何年、何十年とあなたの生活に寄り添い続けます。
サステナブルとは、
「大切に使いたいと思えるものを選ぶ」
それだけで十分。
鹿革は、その答えのひとつです。
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